音乃瀬奏が2026年4月16日に公開した町田ちまとの『空奏列車』カバーは、概要欄でも「町田ちまさんとはじめてのコラボ!」と案内された歌ってみた動画だ。Orangestarの原曲が持つ勢いを崩さず、ふたりのボーカルとコーラスが前へすっと抜けていく。4分強の尺だが、聴き終わる頃にはもう一度最初から回したくなるタイプの一本だった。
概要欄にはInstにFushi、Illustに美和野らぐ、Movieにsense、Mixにたらまっす at TRMX Sound Labなどのクレジットが並ぶ。初コラボの新鮮さだけに頼らず、音と映像の輪郭まできれいに整っているので、曲そのものの気持ちよさがまっすぐ残る。高い音域をまっすぐ伸ばす場面、コーラスで厚みを作る場面、交互に主役が入れ替わる場面がちゃんと分かれていて、聴きどころが散らからないのも良かった。
初コラボでも無理なく重なるふたりの声
このカバーの良さは、どちらかが前へ出て押し切るより、ふたりで曲の推進力をきちんとそろえているところにある。音乃瀬奏の明るく伸びる声と、町田ちまの透明感のある響きがぶつからず、サビで重なった時も窮屈さがない。声質の違いがそのまま奥行きになっていて、聴いていて気持ちがいい。
『空奏列車』はスピード感が魅力の曲だけに、歌い手同士の距離感が合わないと慌ただしく聴こえやすい。その点、この動画はテンポ感を崩さず、コーラスの重ね方も過剰に盛らない。初めての組み合わせでも違和感なく入れるのは、その足並みのそろい方が自然だからだろう。音乃瀬奏が前へ抜けるフレーズでは明るさが立ち、町田ちまが受ける場面では音の線が少し細くきれいに伸びる。そのリレーがサビまで途切れず続くので、コラボ曲としてかなり完成度が高い。
クレジットの細やかさがそのまま仕上がりに出ている
概要欄のクレジットを見れば分かる通り、この動画は歌だけでなく周辺の作りもかなり丁寧だ。イラストとムービーは曲の青さや抜け感を邪魔せず、Mixもふたりの輪郭をきれいに残している。コラボ曲らしい厚みはありつつ、どちらの声がどこで前に出るのかがちゃんと分かるのがいい。
派手さだけで押すタイプではないぶん、映像も音も詰め込みすぎない。夏空を思わせる軽さと疾走感をまっすぐ受け取れるので、1回で終わらず何度か聴き返したくなるまとまりになっていた。原曲の爽やかさに寄せながらも、単に“きれいに歌う”だけで終わらず、二人で歌うこと自体が作品の見どころになっているのがこのカバーの強さだ。
音乃瀬奏と町田ちま、それぞれの良さが一緒に見える
この動画は、片方のファン向けに強く寄せるより、ふたりの声の相性そのものを主役にしているのがいい。音乃瀬奏の歌ってみたを追っている人にも、町田ちまの歌から入る人にも、まず「この組み合わせが合う」という感触が先に伝わる。
コラボという話題だけで終わらず、「またこの並びで聴きたい」と素直に思える余韻が残るのも強みだ。『空奏列車』のカバーを探している人はもちろん、音乃瀬奏と町田ちまの歌の魅力をまとめて味わいたい人にも手に取りやすい一本だった。初コラボらしい新鮮さと、最初から噛み合っている安心感の両方がちゃんと残るので、公開後しばらく経ってから追っても十分印象に残る。
