石狩あかりが2025年12月25日に公開した『PH0EN1X』は、動画概要欄で「人生で初めてのラップに挑戦しました」と案内されているオリジナル曲だ。作詞作曲編曲は鬱P、MIX は D.O.I. が担当しており、クレジットを見た時点でかなり攻めた一曲だとわかる。

タイトルどおり、曲全体は硬めのビートと前に出るラップパートが軸になっている。配信や企画動画で見せる明るさとは違う熱量があり、石狩あかりの音楽面を改めて印象づける公開になっていた。

ラップ初挑戦を、宣伝文句で終わらせていない

『PH0EN1X』は、初ラップという話題をキャッチコピーで終わらせず、実際に曲の中心へ置いている。歌い上げるパートと刻むパートの切り替えがはっきりしていて、新しい歌い方に踏み込んだことがそのまま曲の推進力になっていた。特に前半はリズムを細かく刻む場面が多く、普段の歌唱動画とは違う声の使い方がしっかり見える。

低めの声で押し出す場面と、サビで一気に抜ける場面の対比も大きい。ラップだけで押し切る構成ではなく、メロディが開く箇所をきちんと用意しているので、挑戦作でありながら聴き心地は荒くなりすぎない。あおぎり高校の企画や配信で見せる賑やかさとは別の表情が前に出ていて、普段の印象とのギャップも残りやすい。

鬱Pのサウンドが、石狩あかりの新しい輪郭を押し出す

概要欄のクレジットでは、作詞作曲編曲を鬱Pが担当。硬質なビートと少しダークな押し出し方は、クレジットを見て納得する部分が大きい。勢いだけで走るのではなく、音の隙間をきちんと作っているので、ラップの言葉も埋もれにくい。

石狩あかりの声は、明るさの中に少し尖った芯があるが、この曲ではその尖りをかなり前向きに使っている。普段のキャラクター性と切り離すのではなく、持っている元気さを攻めた方向へ押し込んだような感触で、鬱Pのサウンド設計とよく噛み合っていた。

MV の布陣まで含めて、挑戦作としての説得力がある

MV 側も、プロデューサーの宮坂実弥、ディレクターの坂田和也、Live2Dアニメーションの音葉そよぎ、背景デザインの犬間いくらなど、かなりしっかりした布陣が並んでいる。だからこそ「初ラップ挑戦」というテーマが、単なる話題作りではなく一本の作品として着地している。

音の硬さと映像の強い見せ方が噛み合っていて、ラップ初挑戦というテーマを作品全体で支えているのがわかりやすい。曲だけでも引っかかるが、MV まで通して見ると『PH0EN1X』の狙いがよりはっきり入ってくる。

石狩あかりの音楽面を見直したくなる一本

12月25日の公開というタイミングもあって、年末の新曲として印象に残りやすい一本だった。雑談やゲーム実況から石狩あかりを知った人にも、音楽で見せる攻めた表情をまとめてつかみやすい。いつもの明るさの延長ではなく、もう一段ギアを上げた表現として見られるのが大きい。

初ラップ挑戦、鬱Pの参加、作り込まれた MV という要素が一本にまとまっているので、後追いで見ても入口にしやすい。石狩あかりのオリジナル曲をまず一本選ぶなら候補に入れやすいし、「こういう方向にも踏み込めるんだ」と印象を更新しやすい楽曲だった。