さくらみこの『ファッションビート』Animation MV は、「明るい」「勢いがある」とだけ言って終わらせるにはもったいない一本だった。説明欄を見ると、作詞作曲は DECO*27、編曲は tepe。さらに MV 側も監督・絵コンテ、アートディレクター、CG ディレクター、アニメーターまで細かくクレジットが並んでいて、ポップな一曲をかなり手数の多い映像で押し出していることが最初から分かる。

しかも今回は MV を出して終わりではなく、同じ説明欄で MMD 用のダンスモーション配布まで案内している。つまり、この公開は単なる新曲 MV ではなく、曲を見せることと、その後にファンが踊りや動きを追える導線までまとめて出している。そこまで含めると、この動画の価値はかなり具体的だ。

DECO*27 × tepe の楽曲をアニメ MV で前に出す

まず曲の側面で見ると、『ファッションビート』は音の押し出しがかなり速い。そこへアニメ MV を重ねることで、聴感だけなら流れてしまいそうな勢いを、画面側でちゃんとつかませる作りになっている。軽さだけでなく前へ進む感じが残るので、ただ可愛いだけの MV にはなっていない。

さくらみこの歌声も、その速い流れの中で埋もれない。明るいトーンで引っ張りながら、曲の跳ね方をそのまま運んでいくので、タイトルの『ファッションビート』が持つ弾み方とよく噛み合っている。聴いた後にメロや動きが残りやすいのは、曲と映像が別々に頑張っているのではなく、同じ方向へ押しているからだと思う。

クレジットを追うと MV の密度が見えてくる

説明欄にこれだけ制作クレジットが並んでいると、画面の印象も少し変わる。監督・絵コンテ、アートディレクター、ルックデブ・アシスタント、CG ディレクター、アニメーション担当まで出しているので、ぱっと見のにぎやかさの裏に、かなり丁寧に役割を分けた映像制作があると分かる。

こういう情報があると、「元気な MV で楽しい」で止まらず、どこが作品として厚いのかを見つけやすい。hololive の音楽動画は規模感で圧倒するものも多いが、この MV はクレジットが見えているぶん、完成品の華やかさと制作の手触りを一緒に受け取りやすいのが良かった。

ダンスモーション配布まで含めて公開の設計がうまい

今回かなり面白いのは、MMD に流し込めるダンスモーション配布も同時に案内しているところだ。MV を見て終わりではなく、「この振りを自分でも追える」「二次創作で広がる」線まで引いているので、楽曲公開としての余韻が長い。視聴者の熱を次の遊び方へつなぐ設計になっているのがはっきり分かる。

だからこの動画は、ただ気分が上がるアニメ MV というだけではなく、曲・映像・ダンスの3つを一度に前へ出した公開だと受け取るとかなり見やすい。さくらみこの新曲として触れるのはもちろん、hololive の音楽展開がどう広がっていくかを見る一本としても、中身のある MV だった。