兎鞠まりさんの「今日から犬になります」は、タイトルの時点でかなり変な配信だが、実際に始まると想像以上に声を使うゲーム回だった。遊んだのは、マイクに向かって「ワン」と吠え、声の大きさや連呼でゲージを押し合う対戦ゲーム『ワンワンバトル』。概要欄にも Steam ページが貼られており、犬道ストーリーモードやオンライン対戦、蟹サバイバルなどが紹介されている。
冒頭のセッティングから、普通のゲーム実況とは少し違う緊張感があった。笑い声や声の出し方まで入力として拾われるため、まりさんが「笑い声に反応する」と慌てる場面が序盤から出てくる。操作説明を読んでから遊ぶというより、マイクが何に反応するのかを体で確かめながら進む回で、見ている側もゲームの仕組みを一緒に理解していく感じが強い。
笑っただけで始まる、マイク判定のばたばた
最初に触った時点で面白かったのは、「ワン」と言う前から音声入力が暴れ始めるところだ。まりさんは声の反応を見ながら、普通にしゃべったり笑ったりするだけで判定が動くことに気づく。ここで一度ワンワン操作の設定を見直し、CPU戦へ入る流れになった。
CPU相手のバトルでは、声をきれいに出すよりも、とにかく勢いよく吠える方が強そうだと分かってくる。字幕上でも「本気で吠えた時の加速」に触れる場面があり、ゲームのばかばかしさと競技性が同じ画面に乗るのが楽しい。普通の難易度から相手を倒していく序盤は、攻略というより、まりさん自身がどの声を出せば勝てるのかを試す実験に近かった。
この配信でよかったのは、ゲーム側の変な仕様を笑い飛ばすだけで終わらなかったことだ。キャラクターを変えられることに気づいたり、吠え方の強弱を試したり、相手の犬種を見て反応したりと、短い対戦の中でもちゃんと勝ち筋を探している。気楽な題材なのに、負けたら負けたで理由を考え始めるあたりが、兎鞠まりさんらしいゲームへの入り方だった。
オンライン対戦は、相手を探すところからもう配信になる
中盤ではオンライン対戦にも進む。概要欄のゲーム紹介どおり、Steam のオンライン対戦に対応したタイトルだが、配信内ではランダムマッチがなかなか安定しない。相手が来たと思ったら退出したり、接続が進まなかったりして、まりさんは「人気すぎてサーバーが重いのかも」と半分冗談のように受け止めていた。
ここは対戦そのものより、相手を待つ時間が配信の山になっていた。画面が固まった時にゲームを一度落とす判断をしたり、強そうな犬で待つと逃げられるのではないかと考えて別の見せ方を試したりする。普通なら待ち時間になりそうなところも、「このゲーム、どうなっているんだ」と一緒に眺める時間へ変わっていた。
その後のフレンド戦では、コンプレッサーを切り忘れていたから負けたのでは、という音声入力らしい反省も出てくる。普通の対戦ゲームなら回線やキャラ性能の話になりがちな場面で、敗因がマイク設定に向かうのがこのゲームならではだ。勝負の後には「負け犬」という言葉で軽くいじる流れもあり、吠えるゲームなのに会話の間合いでちゃんと笑いが生まれていた。
早く遊び切ったあとも、変な余韻が残る
『ワンワンバトル』自体は、配信の後半まで長く続いたわけではない。まりさんも途中で「ゲームクリア」と区切り、犬が終わったのか自分が終わったのか分からないような冗談を挟みながら、雑談と次に触れたいゲームの話へ移っていく。この早めの切り上げ方も、むしろ今回の題材には合っていた。
配信後半では、別のサバイバルゲームや今後遊びたいタイトルの話も出てくる。犬のゲームで喉とテンションを使ったあと、少しクールダウンするように近況やゲーム候補を話す流れで、1時間のアーカイブとしては軽く見やすい。長い攻略回を期待すると物足りなさはあるが、変なゲームを見つけて、触って、笑って、切り上げるまでのまとまりはきれいだった。
今回の配信は、すごい進行や大きな発表があった回ではない。ただ、マイク入力がそのままプレイになることで、兎鞠まりさんのリアクションや声の出し方がゲーム内容と直結していた。短めに笑えるゲーム配信を探している人には、冒頭のマイク判定からオンライン対戦のばたばたまでを追うだけでも十分に楽しいアーカイブになっている。
