YOSHIKAが2024年11月12日に公開した歌ってみた『不亂不破 / 亂破』は、『崩壊:スターレイル』乱破キャラクターPV曲をカバーした1本だ。概要欄ではOriginalとしてReol歌唱の公式PVが案内され、MIXは緋佐あきと、Movieは赤羽コーラが担当。何をどうカバーした動画なのかが冒頭の情報だけでつかみやすく、再生前から輪郭がはっきりしている。

説明文の書き出しでも忍法や忍侠の言葉が前に出ていて、忍者モチーフの強い世界観が最初からぶれない。こういう曲は演出だけが派手でも、逆に歌だけが真面目でも噛み合いにくいが、このカバーは説明文、映像、声の押し出しが同じ方向を向いているので、すっと入りやすい。

『不亂不破』のスピード感を落とさず走り切る

いちばん気持ちいいのは、曲のスピード感を無理に重たくせず、そのまま前へ押し出しているところだ。迫力を見せるために低く構えるというより、勢いを保ったまま走り切るタイプの歌い方なので、再生してすぐ空気が決まる。テーマの強い曲でも、構えさせる前に楽しさを先に持ってきてくれる。

『不亂不破』のようにキャラクター性が濃い曲は、寄せ方を間違えると芝居だけが強くなったり、逆に勢いだけで流れたりしやすい。その点、このカバーは声の芯を前に残したまま進むので、モチーフの派手さに埋もれない。歌ってみたとしての聴きやすさがきちんと保たれているのが良かった。

Original・MIX・Movieが見えやすく、カバーの輪郭が立つ

概要欄にOriginal、Vocal、MIX、Movieの情報がまとまっているのも、この動画の見やすさにつながっている。音と画面の温度がそろっていて、原曲の世界観を借りただけではなく、YOSHIKAのチャンネル向けに組み直されたカバーとして受け取りやすい。

Originalとして貼られているのが『崩壊:スターレイル』公式の乱破キャラクターPVなので、原曲との関係をそのままたどりやすいのも親切だ。カバーを聴いたあとに公式PVへ戻る流れが自然につくれるので、曲そのものの面白さと、このカバーがどこを前に出したのかを見比べやすい。

情報の整理が甘い歌ってみたは、良くも悪くも雰囲気だけで終わりやすい。この動画は誰の曲で、誰が歌い、誰が仕上げたのかが最初から見えているぶん、短い尺でも印象が散らばらない。派手な題材でもすっきり聴けるのは、この整え方のうまさが大きい。

YOSHIKAの強い曲との相性がよく見える

YOSHIKAは爽やかな方向の歌でも印象を残せるが、このカバーでは別の強さが前に出る。勢いの強い曲でも自分の声の輪郭を埋もれさせず、最後まで押し切れるので、強いテーマ曲との相性の良さがよく分かる。

原曲のキャラクター性が濃いぶん、題材としては少し尖っている。それでも歌と映像のまとまりがいいので、YOSHIKAの音楽動画をまだ多く見ていない人にも入りやすい。公式PVと並べて見ると、このカバーが勢いだけでなく整理のうまさでも成立していることがより伝わってくる。強い世界観の曲をどう自分の声に乗せるか、その答えがまっすぐ出ている1本だった。