雨庭やえの初オリジナル曲『カンパイ!さんぱい!』は、タイトルの通り乾杯という日常の所作をそのまま音楽にしたようなMVだった。気負った大作というより、一杯目の空気をそのまま曲に落とし込んだような軽やかさがあって、最初の一曲として覚えやすい。
作詞作曲をやしきんが担当していることもあり、耳に残るフレーズの運びがかなり素直だ。乾杯の掛け声を起点にしたリズムの作り方が分かりやすく、雨庭やえの声の明るさもそこで無理なく前に出る。配信リンクまで案内されているので、まずMVを見て、そのまま音源を追う流れも作りやすい。
乾杯の空気を、そのまま曲の入口に置く
この曲の軸は、歌詞や映像で派手に語るというより、乾杯の瞬間にある「場が少しゆるむ感じ」をそのまま共有するところにある。飲み会の曲というより、誰かと何かを始めるときの合図として聞けるので、オリジナル曲の入り口としてかなり分かりやすい。タイトルの言葉遊びもそのままフレーズに落ちていて、初見でもすぐ覚えられる。
やしきんらしいポップさが曲の骨格を支えているぶん、雨庭やえのキャラクターが置き去りにならないのもいいところだ。曲のテンポに乗せられるだけでなく、掛け声の軽さや親しみやすい声色がちゃんと残るので、初オリジナルとして「まずこれを見れば分かる」という役割をきれいに果たしている。
MV は一杯目のテンションを広く受け止める
印象的なのは、MV の入口がとても広いことだ。オリジナル曲は身構えてしまうこともあるが、『カンパイ!さんぱい!』はテーマが一発で伝わるので、初見でも入っていきやすい。見たあとに細部を掘るというより、まず雰囲気で気持ちよく乗れる。
映像も、曲の分かりやすさを邪魔しない素直な作りで、タイトルにある「さんぱい!」の軽さがそのまま視覚的にも残る。派手にひねらず、乾杯の一瞬をそのまま広げたような色と動きでまとめているから、曲の入口を広く保てている。初オリジナル曲としての手触りが伝わりやすいのはこの部分が大きい。
初オリジナル曲として、今後の使い方が想像しやすい
今回の一本で、雨庭やえの音楽面の輪郭はかなり分かりやすくなった。テーマが乾杯なので、配信やリアルイベントとの相性も良く、オープニングや締めの一曲としても使い道が想像しやすい。最初のオリジナル曲として、ここから先の土台をしっかり置いた印象がある。
サビの掛け声は客席やコメント欄と相性が良さそうで、ライブなら一緒に声を出しやすく、配信なら乾杯の合図として差し込みやすい。初オリジナル曲でここまで用途が想像できるのは、テーマ設定が単純だからではなく、フレーズの置き方が実際の場に乗せやすいからだ。
配信リンクが付いていることで、MV だけで終わらずに実際の音の乗り方までつかめるのも利点だ。オリジナル曲として入口が広いぶん、今後はライブや歌枠での扱い方次第で、さらに印象が変わっていきそうな一本だった。
