兎田ぺこらのオリジナルMV『ぺこぺこ!! チキンフィーバー☆』は、タイトルの時点でかなりにぎやかだが、中身もその期待をきっちり裏切らない。クリスマスとチキンのモチーフを前面に出しつつ、ぺこらのハイテンションな歌声とコミカルな演出で一気に走り切る、4分21秒のMVになっている。お祭り感だけで押し切るのではなく、曲・映像・キャラクターの役割がきちんと揃っているのが特徴だ。

動画説明欄では、作編曲を D.watt(IOSYS)、作詞をまろん(IOSYS)、イラスト・映像をひとびとが担当。ネタの勢いだけに寄せず、楽曲と映像の役割がきれいに噛み合っているので、見終わったあとに「ちゃんと一曲として気持ちいい」が残るのも大きい。

クリスマスとチキンで押し切る世界観

この曲でまず目を引くのは、クリスマスの空気を土台にしながら、チキンショップの呼び込みのようなにぎやかさを重ねているところだ。冒頭から世界観をはっきり出してくるので、短い尺でも「今日はこういうお祭りを見せる曲なんだ」とすぐに入っていける。チキン、年末感、ぺこらのテンションを一気に並べるので、曲の狙いが数十秒で伝わる。

ぺこらのキャラクターと相性がいいのも大きい。勢い任せに見えて、歌い方や言葉の置き方にちゃんとリズムがあるから、コミカルな題材でも雑に流れない。ふざけ切るところはふざけ切りつつ、サビではきちんと楽曲として気持ちよく乗せる。その切り替えがあるので、ネタ曲で終わらずにMVとして印象が残る。

テンポのいい映像で見やすい

映像は情報量こそ多いが、見ていて置いていかれにくい。表情の見せ方やカットの切り替えが速すぎず、ぺこらをしっかり追えるので、ネタ演出が前に出ても画面がうるさくなりすぎない。ひとびとのイラスト・映像が「賑やかにする場面」と「サビで気持ちよく見せる場面」を切り分けているので、笑いと見やすさの両方が残る。

4分少々でまとまっているのも、このMVには合っている。同じネタを引っ張りすぎず、見せ場を次々に切り替えていくから、最後まで勢いが落ちない。派手でも見やすいというバランスが取れていて、気楽にもう一回回しやすい作りだった。

ぺこらの音楽動画として入口にしやすい

『ぺこぺこ!! チキンフィーバー☆』は、いわゆるネタ曲っぽい入り口を持ちながら、MVとしての完成度でしっかり引っ張ってくれる。ぺこらの配信を普段見ている人にはもちろん合うし、音楽動画から入る人にも「こういう賑やかさをそのまま作品へできる人なんだ」が伝わりやすい。

キャラクター性をそのまま曲に落とし込みながら、楽曲と映像の見やすさも保っているので、入口用の1本としてかなり強い。ぺこらのにぎやかさや遊び心をまとめて味わいたいなら、まず押さえておきたいMVだ。